歯科において重要なミネラル

あらゆる物質を構成する基本の単位が元素です。
人間の身体の95%が炭素、水素、窒素の4元素で構成されています。 残りの5%の元素をミネラル(無機質)と言います。 人間が健康維持のために摂取しなければならないミネラルとしては現在16種類があります。 これらを必須ミネラルといい、体内に比較的多い主要ミネラル7種と微量ミネラル9種に分類されます。 微量ミネラルとはいえ人間の生命活動には不可欠のミネラルです。

主要ミネラル カルシウムリンマグネシウム、ナトリウム、カリウム、イオウ、塩素
微量ミネラル 鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、マンガン、モリブデン、クロム、コバルト

全てが大事なミネラルですがこの中で特に歯科と係わりあいが多いのがカルシウムリンマグネシウム亜鉛の4種類です。 歯科において多い病気、歯周病は「歯ぐきがやせる」のではなく、 「歯を支えている顎の骨が溶けて亡くなる(無くなるのではなく亡くなるにしました)」病気です。 また虫歯は歯が溶けて亡くなる病気です。 一方口内炎は口の中に出来た小さな傷が治りにくい病気です。 ドライマウスや舌痛症、原因不明の知覚過敏などは患者さんの唾液に原因が隠れていることが多い病気です。 歯や顎の骨を構成している主成分はカルシウムリンマグネシウムです 。 歯や骨からこれらミネラルが奪われる歯周病や虫歯、また口内炎やドライマウス、舌痛症などは 身体の代謝バランスが悪くなることで引き起こされる「代謝異常症候群」ともいえる病気です。 この代謝に大きく係わっているミネラルがマグネシウム亜鉛です。 したがって歯周病や虫歯を予防する、ドライマウスや口内炎、舌痛症を予防するには カルシウムリンマグネシウム亜鉛の取り方をよく考える必要があります。

◆カルシウムの取り方 カルシウムは小魚海藻緑黄色野菜から摂取してください。 牛乳など乳製品からの摂取は控えましょう。 丈夫な歯や骨を作るためにはカルシウムとリン、マグネシウム、亜鉛をバランスよく取ることが必要です。 リンは食品添加物に多く含まれており我々は摂取過剰の状態です。 その一方で、マグネシウム、亜鉛は不足しがちです。 牛乳や乳製品にはカルシウムを確かに多く含みますが、リンも多く含まれています。 リンは摂取過剰ですから外に排出させてやらなければなりません。 歯石の主成分は、リン酸カルシウムというリンとカルシウムが結合したものです。 人の身体はこのように過剰のリンを排出するときにカルシウムと結合させて出すようになります。 牛乳中のカルシウムは実は余り吸収されません。 日本人は生まれつき牛乳中のカルシウムを分解、吸収するための酵素が少ないからです。 その結果カルシウムは不足して、代謝のために骨や歯から補うようになります。 そして歯周病や虫歯の進行を招くと共に、唾液の質も悪くなり色々な口腔疾患の原因となります。 カルシウムを意識するのであれば、リンを少なくしてマグネシウム、亜鉛を多めにとるようにしてください。

◆マグネシウムの取り方
マグネシウムは体内で300種類以上の酵素代謝活動を助けており、代謝に深く係わっている他、 神経の興奮を抑え、体温や血圧の調整を行っています。 またカルシウム、リンと結合して骨の主成分となります。 マグネシウムの不足は歯周病の悪化や唾液の質低下を招くと共に、狭心症や心筋梗塞のリスクを高めます。 カルシウムとマグネシウムの摂取割合は2:1がよいとされています。 食事の際は、白米ではなく、玄米食を食べることが最もよいとり方です。 またマグネシウムは300以上の酵素代謝に関与していますから、非常に失いやすいミネラルでもあります。 肉、加工食品、牛乳、清涼飲料水に含まれるリンはマグネシウムの吸収を妨げます。 またストレス、喫煙、大量の飲酒によっても奪われます。 どうしてもストレスがかかる仕事の方、喫煙を止められない方はマグネシウムをとにかく多めにとるようにしましょう。

マグネシウムを多く含む食品

しらす、味噌、納豆、油揚げ、そば、アーモンド、ひじき、昆布、牡蠣など貝類

◆亜鉛の取り方
亜鉛もマグネシウム同様300種類以上の酵素代謝活動を助けています。 亜鉛は主にタンパク質の合成やコラーゲンの合成に深く係わっています。 また新陳代謝を整え味覚を正常にする働きがあります。 亜鉛が不足するとタンパク質やコラーゲン合成がうまくいかないため、 肌が荒れたり、また口内炎が出来やすくなり味覚が正常に保てないなどの症状があらわれます。 男性の場合亜鉛は前立腺や精子に多く存在します。 精子の尾の活動に亜鉛が必要なため、生殖機能の維持に亜鉛は不可欠です。 亜鉛は牡蠣に特に多くふくまれています。 ゴマ小麦胚芽にも多く含まれます。 またレバーや赤身の肉にも多く含まれますが、肉類は亜鉛の吸収を阻害するリンが多く含まれますので注意が必要です。

◆リンの取り方
リンはカルシウム同様骨や歯の構成成分となっています。 また細胞膜の代謝に重要な役割をはたしています。 DNAの材料としても欠かせないものです。 リンは小魚や牛乳、乳製品に多く含まれる他、ハム、ソーセージ、かまぼこなどの加工食品に添加物として入っており、 現代人は摂取過剰の状態です。 普通の食事で不足することはありません。 むしろ牛乳や肉類の取りすぎによるカルシウムマグネシウム亜鉛の不足に注意しましょう。

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